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自分の感受性くらい
先月まで、実習生が来ていた。実習日誌に指導評を書く仕事はなかなかたいへんだ。時にはコメントに困って、「1回生の時に習った○○についてもう一度振り返ってみましょう」なんて偉そうに書くけれど、私自身は大学で習ったことをほとんど忘れてしまっている。休みの日に本屋に行って社会福祉の教科書をこっそり立ち読みし、こんなことを習っていたのか!と確認している始末。でも、ひとつだけ、鮮明に覚えている授業がある。
その先生は、最初の授業で「今から黒板に詩を書きますから書き写してください」と言って茨木のり子さんの「自分の感受性くらい」という詩を書いた。その時は「この先生は、この詩が好きなんだな」くらいにしか思っていなかったが、その後働き始めてからずっとこの詩に出てくるフレーズに叱咤激励されることになる。
自分の対応がまずかったことに対して、自分で自分に言い訳を考えてしまう時「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」と脇腹に言葉の蹴りがとんでくる。また、上手くいってうれしい気持ちになっている時にも、上から諭されるようにこの言葉が降りてくる。
実習生を指導する側になって、あらためて、この詩を社会福祉の授業の最初に教えてくれた先生は教育者として優れた方だったと思う。そして言葉のもつ力を感じる。
・・・昨年、児童文学者の今江祥智さんと詩人の谷川俊太郎さんの対談を聞きに行った時、茨木のり子さんの「歳月」という詩集はすごい!と絶賛されていた。あの詩の人だと思い、普段は詩集に全く興味がないのだが、本屋に見に行った。読みはじめると言葉の温度が熱すぎて本を持ち続けられないくらいだった。そそくさと本を書棚に戻して帰ってきてしまった。私にはまだまだ「自分の感受性くらい」の詩が似合っている。いつか自分自身が成長して受け入れられるようになったら、あの詩集を買おう。 (療育ひろば 市原真理)
日時 2013年11月08日 23:32 |
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