編集長の毒吐録
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☆2020/6/4更新☆

2001年10月24日の夜に、僕らは<井上ひさしさん(作家)の講演会>と銘打った集会を、京都アスニー大ホールで持ちました。井上ひさし(1934年〜2010年4月9日)の「1人でたっぷり2人分の人生を」と題した講演を聞き、“ミニミニ対談”として、ひさしと佐々木雅幸立命館大学教授の「創造都市への発信」を楽しみました。企画は「京都高齢者協同組合・くらしコープ(仮称)準備事業所」です。参加者は450人、チケットは800円です。19年前のことです。

井上ひさしに『4千万歩の男』という作品があります。伊能忠敬(いのうただたか、1745年〜1818年)は、50歳で隠居するまでは下総の名家の旦那。隠居と同時に本格的に星学暦学の勉強をはじめ、56歳から72歳までの17年間で約4千万歩を歩き尽くして、日本地図を完成させました。第2の人生を生きる覚悟が、京都高齢協・くらしコープのめざすところに合致すると考えて、ひさしさんに講演をお願いしました。

“ミニミニ対談”で二人は、イタリアのボローニャ市の「創造都市」としての魅力を語りました。この後、ひさしさんは『ボロ―ニア紀行』上梓しましたし、佐々木さんは『創造都市への挑戦:産業と文化の息づく街へ 』を著すなど「創造都市」研究のわが国を代表する論者になりました。ボローニャはナチスと戦い、市民の手で解放を勝ちえたという歴史を持つ都市です。「社会的協同組合」などのボローニャ方式と呼ばれる理念が作用していました。一に家族、二に友人、三にわが街と話者は強調しました。

井上ひさしは、今年が没後10年です。車から降りてくるのを待って、会場のアスニーを指さして、「これが京都市の中央図書館です」と僕が言ったときの、ひさしさんの驚いた様子が忘れられません。あまりにも貧弱だったからです。ひさしさんの援助もあったのか、「高齢協・くらしコープ」は、「京都高齢者生活協同組合・くらしコープ」になり、1200人の組合員を擁するまでになりました。

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