編集長の毒吐録
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☆2020/7/18更新☆

「千本日活」(せんぼんにっかつ)に行きました。“行きました”が、残念(!)ながら入りませんでした。「千本日活」では成人映画を2本上映中の看板が出ていました。「上京区上長者町千本西入ル五番町172」と言う所在地からも知れることですが、この映画館は「五番町」(水上勉の小説『五番町夕霧楼』でも名高い)の中にあります。今では、かつて「西陣京極」「五番町遊廓」(西陣新地とも)と呼ばれた繁華街に遺された最後の映画館です。

1961年、「五番街東宝」として開館、63年に今の名前に改称しました。同館の敷地は、58年に施行された売春防止法の結果を受けて遊郭は廃止されましたが、花街組合の事務所の跡地です。この地区には、西陣松竹、北野東映など10館があったそうです。想像するに、東の「京極」と並ぶ、京都を二分する繁華街だったのでしょう。

71年、日活は映画製作を中断しましたが、同年には「日活ロマンポルノ」の製作・配給を開始、同館は成人映画館に切り替わります。このころの西陣地区の映画館は、すでに西陣キネマ、西陣大映、「千本日活」など4館のみだったと言います。05年以降は、この地区の映画館は「千本日活」だけなりました。この地区の映画館や飲食店、遊興施設は、「西陣」「西陣織」「西陣織の産地」「西陣で働く人」と共に「栄え」てきました。地場の中小企業が「元気」あってこそ、という教訓でしょう。「京都らしさ」がここでも失われようとしています。

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