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☆2020/8/13更新☆
【読書雑記662】『武器としての「資本論」』 (白井聡、東洋経済新報社、1600円+税)。<『資本論』のすごいところは、一方では国際経済、グローバルな資本主義の発展してきた傾向というような最大限にスケールの大きい話に関わっていながら、他方で、きわめて身近な、自分の上司がなぜイヤな態度をとるのか、というような非常にミクロなことにも関わっているところです。そして、実はそれらがすべてつながっているのだということも見せてくれます>と著者は言う。
著者は、最近、近所に越してきた学者だ(与太話!)。書名通り、本書は「武器」だ。白井聡の本書には、資本論の本質が解説されていて、例えば。富と商品の違いや、資本制経済の特徴と本質が書かれている。地球温暖化の問題をかかえ、さらに新型コロナウイルスを経験したこれからの世界は、このままの資本制経済では行き詰まる。人類が資本制経済を乗り越えて、新しい共生経済へと移行していくためにも、本著は市民にとって必読の書であり、世界の変革のための武器となる一冊。
難解だと言われる『資本論』で、読者が必ずしも受け止めることができなかった(僕もその「有力」な一人)広大な世界をわかりやすく解説した。同時に、マルクス自身が「世界の改革」におけるむずかしさに悩んでいたこと、その悩みが現代人に共有するものであることを、一般の生活者にも理解させようとする書だと思った。一例をあげれば、現下の新型コロナウィルスの感染拡大があげられる。この時期、温暖化、自然災害、原発事故とともに、感染症蔓延を含んだ危機を克服する方途は、資本制の克服の方向性と同一だろう。落としどころはどこか?を考える上で、本書は非常に有用だ。
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