編集長の毒吐録
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☆2020/6/9更新☆

【悼】立命館大学名誉教授の高内俊一(たかうちしゅんいち)さんが亡くなれた。95歳だった。『現代日本資本主義論争』などをものにされた先生は、毎日新聞社を経て立命館大学の教員として、経済事情や政策を論じられた。

先生とのお付き合いが始まったのは、1980年代、先生が京都に赴任されてからのことだった。二人の間を取り持ってくれた友人は、僕と先生の共通した知り合いだった。毎日新聞社にあって週刊『エコノミスト』の編集長も務めた先生と、雑誌『経済』の編集者であった友人とは、東京時代の知り合いだった。そんな縁もあって、先生を囲む「サロン」を造り、森羅万象を語り合う会を発足させることになった。大学教員、編集者、新聞記者などがメンバーで、その集まりを「高内サロン」と呼んだ。

 「高内サロン」には約束事があり、それは「サロンの議論は自由闊達に、サロンの意見を外部にしゃべらない」ということだった。毎月のあつまりは、先生が京都を離れるまでつづいた。「サロン」にも共通話題を創るための本が必要という事になり、それは読書会になり、メンバーをかえて30数年後の今も続いている。メンバーの一人が所有していた、ダム湖を下に見下ろす別荘での「宿泊サロン」を持ったこともある。

 僕の息子が先生から日本語版の『資本論』を借りたことがある。先生は「英語」「チェコ語」「ドイツ語」「フランス語」「ロシア語」など10数ヵ国後で書かれた『資本論』を所有されていたが、帰宅した息子が本の多さとともに、驚いて報告してくれた。

3年前の2017年初夏、『無言宣伝』(ウインかもがわ)を読んでくださった先生から、東京からのお電話を頂き、望外のおほめにあずかり、本の感想と近況、僕の身体をいたわって下さった。

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