編集長の毒吐録
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☆2020/6/23更新☆

【読書雑記647】『沖縄を世界軍縮の拠点に: 辺野古を止める構想力』 (豊下楢彦・北上田毅など6人、岩波ブックレット、620円+税)。トランプ大統領の登場や米朝対話など、米海兵隊普天間基地移転に伴う辺野古新基地建設を巡る政治的環境は、動いている。国連の軍縮アジェンダと連動し、軍事拠点からの脱却を目指す本。

辺野古基地建設への反対姿勢を、さらに広く沖縄からの米軍基地撤去に向けての運動を、アジアの、そして世界の未来に向けた取り組みにいかに結び付けていくか。この問題に、「辺野古を止める構想力」というテーマのもとで取り組んだシンポジウム(2019年5月開催)の報告集。

豊下は、辺野古基地建設の前提となる日米同盟のあり方そのものが変質しつつあるという認識を示した上で、基地建設を止めさせるためにも現代世界の中での沖縄の位置と役割についての「構想力」が必要になると説く。その際に彼が注目するのは、核軍拡競争の危険性の高まりを前にして、国連のグテーレス事務総長が18年5月に提起した「軍縮アジェンダ」だ。国連が取り組むべき課題として、「人類を救う軍縮」「生命を救う軍縮」「将来世代のための軍縮」という軍縮問題を捉えたこのアジェンダは、今の世界にとって大きな意味をもつと豊下は言う。

そして、軍拡の最前線に立たされ大きな犠牲を負わされてきた沖縄こそ、軍縮を推進する世界のさまざまな動きと連動しながら、「軍縮アジェンダ」を実現していくための拠点になるべきだと言う豊下の言説は、辺野古米軍基地建設をストップする「構想力」として大きな意味を持つだろう。

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