編集長の毒吐録
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☆2020/6/30更新☆

【読書雑記649】『イソップ株式会社』(井上ひさし/文・和田誠/挿絵、中公文庫、743円+税)。イソップ株式会社という子どもの向きの出版社の出版社の社長で、外国へ本の売り込むための出張中の父親から、毎日一通の手紙が届く。田舎で夏休みを過ごしているしっかりものの姉といたずらばかりの弟の二人は、手紙に添えられた会社を守る女性社員の添え書きも一緒に読んで、楽しんだ。

父親から届く一日一つの「お話」を楽しみにしている。おばあちゃんのいる田舎での暮らし、弘子さん(社員)の手紙、父の話で進む物語が面白い、再婚を考える父親と、一日一話の物語を通してそれを次第に感じ取る二人だった。和田誠の挿絵も上出来。

父親は田舎に図書館を作る計画をもっているのだが、その時のおばあちゃんの言葉が秀逸だ。「読書は言葉を鍛える、鍛えられた言葉が今度は頭を鍛える、そしてその鍛えられた頭がものごとをよく考える」と。お父さんのお話は当たり外れがあるが(僕ではなく本の中のお話し・・)、そんな時は周りの人々のエピソードがカバーする。日々の出来事の情景が鮮やかだ。

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