編集長の毒吐録
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☆2020/7/7更新☆

【読書雑記651】『完本 小林一茶』 (井上ひさし、中公文庫、900円+税)。好読みもの、紀伊國屋演劇賞個人賞、読売文学賞受賞もむベなるかな、納得の好著、この本は、一茶をめぐるエッセイ(一茶をめぐって)や著者であるひさしが選んだ「一茶百句」、金子兜太との対談などを増補して、井上ひさし今年の没後10年を記念して出版された。

忽然と姿を消した大金480両をめぐる推理劇。それは、思いもかけないどんでん返しが待っていた。幾重もの仕掛けで、才能豊かな俳人・一茶の半生を描く戯曲。「解説」で扇田明彦は、「喜劇精神で味付けした伝記劇でありながら、意外などんでん返しを仕組んだ推理劇であり、 劇中劇をふんだんに駆使したメタシアター(演劇についての演劇)であり、 俳句や連句の世界から見た日本論・日本人論であり、 痛烈な中央集権批判、消費都市批判であり・・俳諧師たちから見た文筆業者の生々しい生態図でもある」

本書には、俳人・金子兜太と井上ひさしの討論が2本収録されている。1本目は1981年1月19日で、「一茶・息吐くように俳諧した人」であり、2本目は2007年11月3日、「小林一茶にみる言葉といのち」である。前著で兜太は、「お茶の水山の上ホテルへ。一茶のこと。引用文学、日常で書く(職人)、晩年の一茶等等、楽しかった。いままで対座談した人のうち、五指にはいる人。小生の「暗黒や関東平野に火事一つ」の句を、「ぼや一つ」と氏は覚えていて、大笑い。」と書いている。

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