寫樂斎・この一句 福祉川柳・道場破り
特集−介護保険の1年

 去る4月1日で、早いもので介護保険制度実施1周年を迎へた。月日の流れは金では買へぬといふけれど、金がなければ買へぬもの「介護」なりと思い知らされし一年間であった。
 我も、及ばずながら、その欺瞞性・欠陥点など折に触れ指摘したが力足りず、法成立・実施を迎えざるを得なかったこと、返す返すも残念なり。
 一年有余の以前、同好の諸氏に呼びかけ、「介護保険川柳」を募集せしところ、以下のごとき秀作・駄作が入り交じりてわが元に寄せられた。作品の出来映えはさておき、実施1年を経過して事実で実証されしその先見性のみは、賞賛に値するべからずんや。
 「「WEBマガジン・福祉広場」」の一角をお借りし、「福祉川柳・道場破り」のコーナーの看板を掲ぐるにあたり、ここに、当コーナーの母体でもある介護保険川柳を、再度みな様の御覧に供する次第である。
誤解から 今は懐疑の悔悟保険 (洒落男)
当初マスコミアンケートでは、「介護保険に賛成」が80パーセントも。今は、事業者も、労働者も利用者・国民も「誰も良いことはない」という介護保険。化けの皮がはがれたか。
ついでに、コイズミさんの80%の化けの皮も早くはいでほしい。
二千億 「充実」のはずが 負担減 (与謝ん野丸村)
2001年度の厚生労働省予算の介護給付費、見た目は増加しているが創設年度の11か月分が1年分になったための増加。相変わらず増えていない。
因みに、予算源の正確な数値は2,400億円。
これでもか! ハードルが続く給付まで (寝たきりランナー)
要介護認定はあるは、支給限度額はあるは、1割の利用料負担はあるは、保険料滞納したらペナルティーはあるは、おまけにサービス供給体制は不足しているは、なかなか利用にたどり着けず、利用率は全国平均で43.2%と国が発表。(2000年7月・全国106の定点自治体調べ)
社会保障 総改悪の一里塚 (霧捨街道まっしぐら)
「介護保険でうまくいけば……」と柳の下の泥鰌ならぬ社会福祉法が5月に成立。2003年には、障害者の福祉も「支援費」という契約利用に。
「天引き」も できぬ年金から ふんだくる (平成鼠小僧)
生活費である年金から天引きもひどいが、福祉年金など額の少ない年金からは市町村が「普通徴収」。保険料率が2分の1に押さえられているのに昨年10月分の収納率は67.6%と3分の1は払えない。この上に、今年の10月からは全額徴収が始まる。
「払えません」でも 情け容赦なし制裁措置 (霞ヶ関奉行)
やいやい!てめえたちゃ人間じゃねェ。この桜吹雪が見えねェかぁ〜。御老公の御前である、頭が高い、控えおろぅ〜。
「制裁」の 累が及んで 国保まで (右似楢江)
悪名高い国保証の取り上げ。国保法の規定も、滞納者に証の返還を「求めることができる」から「求めるものとする」に改悪(パワーアップ)された。(第9条3項)
「民活」に 訪問調査まで 委託 (契約万能君)
やれ私的契約だ、やれ民間活力だと、ついには市町村が自分でやることが「原則」の訪問調査まで委託したら、いったい自治体のやる仕事って何?
あーあ。和歌山ケアマネジャー殺人事件まで起こっちゃったヨ。
師範代  寫樂斎
 出生地及び生年月日不詳。いわゆる「団塊の世代」に属し流暢な京都弁を話す魚座の人と専らの噂だが、その素顔を見たものはいまだにごく少数である。
 有名な俳人養成施設「虎の穴」の門を叩き、日本語を大野晋氏に、平曲を琵琶法師に、原子物理学を湯川秀樹氏に、蠅取術を宮本武蔵に、作曲をさだまさしに、それぞれ師(?)事したと本人は言うが定かではない。
 過去数回、概ね4年毎に「京都府政川柳」や「京都市政川柳」を発表しているが、未だ世間の話題となったこともなく、不遇な立場に甘んじている。
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