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どんぐりをひろうということ
今年の秋は、公園でたくさんどんぐりをひろった(もちろん、療育中に)。中でも、ただひたすらどんぐりを拾った日が2回あって、ボールいっぱいになったどんぐりを子どもが抱えてひろばまで運ぶのに、途中でこぼさないかとドキドキした。
だからこそ、年末に福島に行き、保育園、児童発達支援事業所に伺ったときお聞きした話が印象に残った。福島では、今なお外遊びが制限されている。保育園や事業所の園庭は除染されたが、園の外に一歩出ると道は除染されていない。それでも先生達が線量をはかって安全な道を探し、最近になってやっとお散歩に行きはじめたという。原発事故からの1年間は、保育園の外を見ようとする子どもたちの頭に押されて網戸がたくさん壊れたと聞き、胸が痛んだ。
園には、全国の保育園等から葉っぱやどんぐり、ダンゴムシまで送られてくるそうだ。保育士さん達のつながりはすごい。送られてきたどんぐりは、制作の材料として使われる。その後で、たまたま園庭に落ちていたどんぐりを見つけて拾った子が、大事そうにずっとどんぐりを握りしめていたという。「自分でみつけるって全然違うんですよね」と職員の方が言っておられた。
私はそのとき初めて気がついた。どんぐりをひろうということは、いろいろな条件が整って初めてできるということを。どんぐりが植えてある場所があること、季節がめぐり実をつけること、保育や療育の中で外遊びが保障されていること、どんぐりをひろうということが遊びの中で大事にされていること、それが可能な人員が配置されていること、そしてそのどんぐりが放射能に汚染されていなくて安全であること・・・
原発事故は、子どもたちから、このささやかだけどかけがえのない“自分で”をいっぱい奪ってしまった。そして、“自分で”が奪われたのは子どもだけではない。中学生から高校の進学先を奪い、大人から職や家や土地を奪い、2次的3次的な影響がひろがっている。このことの重みを多くの人に知ってもらいたい。この現実を前にして「アンダーコントロール」なんて軽々しい言葉を世界に発信しないで欲しい。 療育ひろば 市原
日時 2014年02月01日 00:01 |
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